Children First

 現代社会の子育て支援

 

1章 ヒトは、どのようにして人になるか

− 人の社会化と家族の役割 −

人は、生れ落ちたそのままで人として成長するわけではなく、家族や周囲から慈(イツク)しまれ育(ハグク)まれる中で、つまり人と人の結びつきの中で言葉を覚え、その社会の習慣や道徳、きまりを身につけていきます(人の社会化)。人が生まれてはじめて出会う社会集団は家族ですが、その家族のあり方が変化してきていることを述べます。

第2章 子どもは耐久消費財である…か

− 現代の子ども観と少子化 −

少子化の現状を分析した上で、経済成長を遂げ豊かな社会へと移行してくると、子どもはもはや労働力ではなく、「質」が高く親を楽しませてくれる子どもであることが求められるようになって、そのために親は、可能なあらゆる資源を子どもの養育にそそぎこむようになることを述べます。親は将来のためだからと子どもを勉強へ、あるいはスポーツへとありったけの資源を注ぎこみ、子どもも親の期待にこたえようとひっしの努力をつづけますが、応えきれないとなったときに、子どものストレスは爆発します。子どもの人格や人権を尊重することと、子どもに託す親と社会の期待との狭間(ハザマ)で、現代の子ども観はどのようであるかを考えます。

第3章 なぜ子育てを社会的に支援するのか

− 子どもの権利と保育 −

 保育職の「専門性」とは何かについて、生涯発達心理学の見地を援用しながら考察します。その上で、子育ての第一次的責任が親にあることを踏まえながらも、子育ての上で出会うかもしれない困難の解決を「自己責任」という言葉の向こう側に塗りこめてしまっては、子どもはまっとうに成長できない危険性が増していること、そして、少子化であろうとなかろうと、母親が就労していようといまいと、だれでも利用可能な普遍的サービスとして保育サービスを含む子育て支援の諸施策が保障されるのでなければ、子どもの成長する権利が阻害されかねない社会状況となっていることを述べます。保育サービスは、少子化時代にあって子どもの健全な育ちをどう保障するかという子どもの成長権の問題(Children First、チルドレン・ファースト、まず子ども)としてアプローチされることの必要性を主張します。

第4章 少子高齢化の急激な進行

− 河内長野市の地域社会状況と保育サービス −

 河内長野市の出生率は大阪府下でもきわだって低い方に属していますが、その人口学的要因ばかりでなく、社会的要因について考えます。また、河内長野市の「次世代育成支援に関するニーズ調査報告書(平成16年3月)」および「次世代育成支援対策行動計画」(平成17年4月から平成22年3月までの5年間の前期計画)の概要を紹介しながら、河内長野市の子育て環境について考えます

第5章      高向保育園のこれまで・これから

    − 多世代共生の地域社会をめざして −

1955(昭和30)年の本園創設以来の足跡を振り返り、本園が立地する高向小学校区を構成する主要な4つの町(高向、旭ヶ丘、日野、滝畑)の地域社会状況を分析します。その上で、この地域のもっともホットな福祉課題が、少子化時代の子育て支援とともに高齢化の急激な進展にあることを考察します。地域住民の力で創設され今日まで50有余年の歴史をきざんできた本園の将来課題を地域福祉の視点から展望しながら、多様な文化的背景、多様な価値観をもった人びとがともに暮らす社会が「強い社会」であり、子ども、青少年、子育て中の親そして高齢者が世代ごとに分断され、無関心に支配される社会は、「いじめ」や差別、孤独死などの危険性が大きい「弱い社会」であることを述べます。

第6章    高向保育園の保育サービス

− 保育方針と保育内容の特色 −

本園が提供している保育サービスの内容(通常保育・延長保育・一時保育・子育て支援事業・障がい児保育・子育て相談)とその特色(おいしく、ためになる給食・絵本の読み聞かせ・英会話教室・体操教室・音感保育・自然活動と野菜の栽培・地域交流事業および送迎サービス)について紹介します。また、大阪府社会福祉協議会による第三者評価の概要をとりあげ、保護者と保育者とのよりよいコミュニケーションと連携がとても大切であることを述べます。




1955(昭和30年)に創設された高向保育園(タコウホイクエン)は、これまでどのような歴史をきざんできたか。どのような保育を目指しているか。また、地域社会の中でどのような役割をはたしたいと考えているか。この冊子は、本園に新しく入職する保育士の研修資料として計画されましたが、保育サービスや地域福祉に関心のある方に頒布可能です(A4判全70ページ、頒価500円郵送費別)。筆者は本園理事長・奥谷康城と園長・九星静です。